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第二節 未曾有!平安時代の東日本大震災

未曾有(みぞう)」という表現が記されている、貞観陸奥地震(869年)の史料として最も有名なのは、『日本三代実録(にほんさんだいじつろく)』です。この史書は、六国史の一つで、平安時代に編纂された正史です。

該当する記述の引用(原文)

『日本三代実録』巻第十一、貞観十一年五月廿六日条に、以下のように記されています:

陸奥国言、五月廿六日辰時、大地震動、城郭倉廩、并官私屋舎、破壊尤甚。鹽竈社神殿破壊、百姓死者數多。或云、大海嘯來、漂入郡城、溺死者千餘人、牛馬死者無數、田園荒蕪、尤為未曾有也。

現代語訳

陸奥国からの報告によると、5月26日の辰の刻、大地震が発生し、城郭や倉庫、官民の建物が甚だしく破壊された。塩竈神社の社殿も壊れ、多くの百姓が死亡した。あるいは言う、大きな津波が押し寄せ、郡の城内にまで浸水し、溺死者は千人余り、牛馬の死者は数知れず、田畑は荒れ果て、これまでにない未曾有の災害である。


この「尤為未曾有也(もっともこれまでに例がない)」という表現が、貞観地震の規模と被害の大きさを歴史的に強調しています。

東日本大震災の直後に「未曾有」という言葉が飛び交いました。「未だ曾て有らず」「いままでこんなことはなかった」という意味ですが、東日本大震災の津波はこの貞観陸奥地震(平安時代:869年)の津波にかなり重なります。この津波災害を調査した研究者が東京電力などに提言しましたが、無防備な海辺の原発に災害対策がされることはありませんでした。

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